プレジャーボートのキャビン内部の環境は、プラスティック素材で製造されているものが多く、「夏は暑く冬は寒い」といわれている。
そこでボートオーナーの方々は快適な空間にするためにあの手この手を考えるのだが、コストがかかるものが多く、困っているのが現状だ。
今回は、電気を使用した比較的簡単に実行できるキャビン内の暖房器具のアイデアを伝授しよう。
さて、空気を暖める暖房器具には熱エネルギーが必要だ。
その熱エネルギーを得るために基本的に2種類の電源方法が挙げられる。
バッテリー電源を利用した暖房器具
12V仕様のポータブルセラミックヒーター。
運転席のコックピットパネルのシガー電源にプラグを差し込んで使用するポータブルタイプが便利。
暖房能力は低いが、顔や手を暖めるには十分だ。
ウインドシールド温風を向けると、くもりも取ることができる。
消費電力も少なく、エンジンを回していればバッテリーの消費電力も少ないので安心して使用できる。
陸電または発電機の電源を利用した暖房器具
電気ストーブなどの家庭用暖房器具。
陸電や発電機を利用する場合は、家電店で販売しているほとんどの暖房器具が使用できる。
400W〜800W程度のセラミックヒーターなどがお薦めだ。
ただし、家庭用の大型暖房器具は最低でも4.5畳分以上の暖房能力があるので、狭いキャビンで使用する場合は、換気などに十分注意すること。
酸素欠乏で倒れてしまっては元も子もない。
また、発電機を使用する場合は、発電能力を考慮に入れること。
（※発電機は800W程度のガソリンのポータブル発電機でもかまわない）
私は、ポータブル発電機を桟橋に置いて”露天商”のごとく使用する方法を実践している。
ボートに設置する必要もなく、ガソリン2リッターで4時間以上も使用できるので便利だ。
また、ボートのバウやトランサムのスペースに台座を置いて、ポータブル発電機を置く方法もある。
ちなみにゴムやウレタンを発電機の下に敷くことで、振動はほとんど感じられない。
12Vを100Vに変圧するインバーター電源を利用した暖房器具
インバーターは、バッテリー直流12V電源を交流100V電源に切り替えることができる装置だ。
発電機の代用品ともいえる。
この装置を利用することで、ボートのバッテリー電源から家庭用の暖房器具の電源を得ることが可能になる。
気を付けたいことは、陸電や発電機と違い、使用できる電気に限りがあることだ。
12V/120Aバッテリーからエンジンをかけない状態で使用した場合、400Wの暖房器具は約2時間使用できる。
エンジンをかけて使用しても、充電能力が弱ければ長く使用できないのが唯一の弱点だ。
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連載第２７回／キャビン内の暖房器具を考える
