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連載第31回/ インストルメントパネル その1

ボートを安全に航行し運営していく上で、エンジンの調子などのデータをモニターするための計器類ををインストルメントと呼び、その設置されているスペース部分をインストルメントパネルと一般には呼ばれている。 最近のパッケージボートには、最小限必要とされている代表的なインストルメントであるタコメーターが標準装備されているものの実際の運用に際して云えば、不十分であると云えよう。 自動車の様にボートにおいても様々な各部分の状態をモニターすることができるなら、自分のボートの異常をいち早く察知し、大事故になる前に防止することができるはずだ。 特にキャビンがあるような大型クルーザーにおいては、このインストルメントが重要な役割を果たしている。

【タコメーター】

タコメーターは、エンジン回転を示す計器であり、人間で云えば心臓の鼓動を計る脈に当たる。 エンジンの回転数は、数字で表すことができ100分の1または1000分の1の数字がメーターに刻まれている。 RPMという単位を用い、1分間のエンジンの回転数を示している。 ガソリンエンジンやディーゼルエンジンは、原則として回転数が高くなるほど発生する馬力がアップする。 例えば、最高出力300馬力/4200回転のエンジンであっても1000回転時の馬力は、数十馬力程度に落ちてしまうのだ。 特にディーゼルエンジンの場合、低回転では出力が落ちてしまうのでターボチャージャーやスパーチャージャーなどの装置を付け出力ムラを補っている。 エンジンの性能については、各エンジンの取扱説明書に最高出力時の回転数が記載されているので各自参照していただきたい。

【スピードメーター】

スピードメーターとは、1時間当たりの進む距離を数値で表すもので、自動車ではKm/h(キロメートルアワー)と云う単位でお馴染みだが、ボートではKnot/h(ノットアワー)やMPH(マイルパーアワー)と云う単位を用いる。 米国製のボートのスピードメーターは、MPHのものが多く1時間に何マイル進めるかを表示している。 計測する方法であるが自動車では、タイヤが道路に設置しているので速度を計測するデータはタイヤの回転数から得ている。 では、ボートの場合はどうするのか?一般に3つの方法がある。 ひとつの方法は、回転する小さな羽根を船底などに取り付け、その回転する速さでスピードを表すメーターである。 この方法はヨットなどの低速艇に主に使用されている。 もうひとつは、ピトー管と云われるノズル状のものをスタン部の船底に取り付け、その水流の圧力でスピード計測するメーターである。 どちらの場合も対水速度を計測するので進むべき距離と所用時間を算出するにはあまりあてにならない。 最後のひとつは、GPSを利用し計測する方法で対陸速度を表しているメーターである。進む距離が正確に計測できるので目的地の到着時間などを予測できるので便利だ。 但し、対水速度ではないので、同じエンジン回転数でも風や潮の影響でボートのパフォーマンス速度とは必ずしも一致しないという弱点もある。

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